音楽を始めるきっかけの多くは、ライブやコンサート、またはそれらの映像の人が多い。
しかし、一方音楽業界を経済的に支えているのは音源だ。
音源は、レコーディングという過程を経ないと完成しないが、この雰囲気だけはとても説明できない。
といいつつ、せっかくこういうブログを書く場所があるので、メジャーアーティストや音楽業界での仕事を目指している人がいたら、ぜひ参考にしていただきたい。
レコーディング現場にいる人達
レコーディング現場、最低限いる人は、主に以下。
- アーティスト
- アーティストのマネージャーや事務所関係者
- レコーディング・エンジニア
- ディレクター
実際には、より多くの人がいるが、上記の人がいればとりあえずレコーディングは進められる。
逆に言えば、これらの人たちがいないとレコーディングはできない。
それぞれ見ていく。
アーティスト
ボーカル、楽器演奏者を含めて、アーティストに含める。
レコーディングでは、ボーカルを含め、各楽器をバラバラで録る。
アーティストのマネージャーや事務所関係者
念のために説明すると、事務所はアーティストのお世話をしている組織。
会社でいえば、アーティストが商品(あくまで表現の一貫)で、事務所がその会社、という感じ。
レコーディングに同席するのは必然。
レコーディング・エンジニア
ここが結構間違われやすい。
エンジニアは、エンジニアだ。
何を当然のことを、と思われるかもしれないが、エンジニアはレコーディングの為にマイクを立てたり、レコーディングの為のソフトを操作したりする、、、ことしかできない。
技術的な意味ではなく、権限として、それ以上のことはやってはいけないのだ。
複数のテイクをとって、どれを採用するか。
演奏者のリズムやボーカルのピッチに関しての助言。
その他音楽的なことは、エンジニアの権限外になる。
ディレクター
では、そういったことは誰が判断するのか、と言えば、ディレクターに集約されている。
この雰囲気を説明するのが最も難しい。
例えば、ボーカルが大御所の人だったり、エンジニアがその道20年のベテランだったり、事務所が超大手だったりすると、場合によってはそこにいるディレクターが、キャリアとしては最も低い、ということになりかねない。
しかし、そこにいる人が、音楽という正しい、正しくないがはっきりしていないことに対して各々の意見を言い出すと、全く収集がつかなくなる。
ディレクターはレコーディングの「録れ高」に対する責任者だ。
ボーカルが緊張してうまく歌えなかったら、それはボーカルの責任なのかというと、ここもディレクターの責任となる。
つまり、緊張を解すことができなかった責任、緊張するような空気を作ってしまったことに責任がある、という訳だ。
新人の女性ボーカリストが、強面のディレクターに「しっかり歌えよ」と言われて、恐る恐るブースに入る、なんてところを想像する人もいるかもしれないが、そういったことはまずない。
そんな状況でレコーディングしても、ちっとも良い声は録れず、それがディレクターの責任となるからだ。
つまり、レコーディングにおいての優秀なディレクター条件は、豊富な音楽的知識も勿論だが、空気の作り方、人との対話術も必須となる。
上記エンジニアの権限に関しても、権限がないことをエンジニアがし始めた時に、それを何らかの方法で抑制するのも、ディレクターのテクニックだ。
ボーカリストが超大御所の時ですら、指示をディレクターが出さないといけない。
その場合、ディレクターは自分よりも歳もキャリアも圧倒的に上の人に、不快感を与えないように指示を与えないといけないのだ。
音楽の勉強をしっかりして、レコーディング現場に初めて入ったディレクターは、100%敗北する。
敗北という言葉は悪いが、要するに、ちっともうまくいかず、録れ高が低くなり、社の先輩に怒られることになる。
これは、座学でどうにかなるものではなく、経験を積むしか無い。
人のバリエーションの分だけ、そのディレクションの仕方もあるので、膨大な数の現場経験を積まないと、満足いくディレクター業務はできない。
もちろん、前もっての勉強が無駄になることはないので、しっかり勉強しなくてはいけないが、それだけでうまくいった例は見たことも聞いたこともない。
レコーディングの後には、さらに膨大な作業がある
これらの人々のおかげでやっとレコーディングが終わる。
実は、レコーディングが終わったらミックスダウン(トラックダウン)、マスタリングといった作業があり、これに長い長い時間と、高い高い技術を求められるが、それはまた別の記事で説明しよう。