日々じゃーなる

日々の生活でおもったことをなんとなく、でも結構まじめに綴るブログです。 趣味は読書とビリヤード。仕事は音楽関係。

オウム事件を振り返って

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180119-00000114-mai-soci

私が生まれてから起こった事件の中で、最も大きな事件がこのオウム関連事件です。 世界初のバイオテロが、安全な国であるはずのここ日本で起こったというのは、日本だけでなく世界を震撼させました。

私は、その数年後に海外に行って数年間滞在したのですが、現地で仲良くなったチェコ人から、オウム事件のことを聞かれました。 最初は「オムー、オムー」と言って、何のことを言っているのかわかりませんでした。 第一、チェコ人がオウムの事件を知っているなんて想像もしていなかったわけです。

何があったのか、なぜ起こったのか

この事件は、とにかく話題性がありすぎて、報道は時に焦点がずれまくっていました。

  • 宗教という日本ではどちらかというと馴染みの少ない団体が主体だったこと
  • バイオテロ
  • テレビカメラの前でオウム幹部が殺害される
  • オウム幹部はエリート揃い
  • 麻原の弁護士がかなり変わった人だったこと
  • 広報担当の上祐氏が、あまりにも口論が強かったこと

私たちが報道を見る目的は、そこで何があったのか、そしてなぜそれが起こったのかを知るためです。 それから、不倫のニュースもあって構いませんが、報道されるべき内容とは混同されてはいけません。

オウム関連ニュースという括りで報道がなされるために、ワイドショー的な要素も入り込んでしまって、結局何が起こったのか、なぜ起こったのかが当時とてもわかりにくかった記憶があります。 [amazonjs asin="4062639971" locale="JP" tmpl="Small" title="アンダーグラウンド (講談社文庫)"] [amazonjs asin="4167502046" locale="JP" tmpl="Small" title="約束された場所で―underground 2 (文春文庫)"]

ノンフィクションを書いたことがなかった村上春樹さんが、地下鉄サリン事件の被害者、加害者に、自ら足を運んでインタビューした記録です。 ノンフィクション作家業界(?)内では批判も多かった本ですが、私はオウム事件を知るための、最も良い本の一つに数えられると思います。

次が起こらないとは限らない

あれから決して短くない年月が流れました。今の若い世代は、この事件をあまり知りません。昔あったセンセーショナルな事件だ、というくらいの認識の人もいるようです。

例えば東日本大震災阪神大震災は天災です。その後の対応は考えられても、天災自体は防げません。 では、いち宗教団体が起こすテロ事件は防げるのでしょうか。

特に問題ない家庭に育ち、成績も優秀で、将来が明るそうな若者がオウムに入信し、人殺しまでに至った事件。 これを、「頭のおかしなやつらが起こした事件だ」というくらいの見方しかできなかったとすれば、こんな事件はまた必ず起こります。防げないでしょうね。 おそらく、今回加害者になった人と私たちの違いは、誤差レベルです。 人は間違えるし、扇動されます。同調圧力に抵抗できる人はほとんどいません。

自分も一歩間違えば加害者になる、そう捉えるところがスタート地点です。 歴史から何かを学ぶ、ということはそういうことなんだと思います。