先日こういったニュースがあがっていた。
著作権の及ぶ範囲
まず、前知識として、楽曲の著作権のことを少し。
楽曲の著作権は、メロディーに関して「のみ」ある。
その他コードや編曲、歌詞に関しては著作権は無い。
これは至極当然のことで、例えばコードに著作権をつけてしまうと、ほとんどのブルースは違法になってしまう。
編曲もしかり。
編曲とは、楽曲の構成、楽器、その楽器の演奏の仕方や入るタイミングなど様々に及ぶが、そのうちの楽器でいえば、シンプルな3ピース(ギターボーカル、ベース、ドラム)のバンドや、アコギの弾き語りのアーティストも、その多くが違法になってしまう。
歌詞に関しても、明確な著作権は無い。
これに著作権を要求してしまうと、「愛してる」という言葉を使っている曲は全て違法だ。
パクリは良いのか悪いのか
では、メロディー以外は何でもパクっていいのか、となると、、、良いと思う。
しかし、そこには個人が持っている「倫理観」だけは問われるのではないかと思う。
例えば、少し前に有名になった、上記記事中にも出てきたこの問題。
これは、確率的に言っても偶然という域を明らかに超えている。
しかし、これが問題なのは、作詞として名前があがっている沢久美さんが何を理由にここまで歌詞を酷似させたのか、という思考回路だ。
(あくまで、クレジット通り沢久美さんが作詞をしていたとしたら、という前提付き)
「良い歌詞なので、どうせターゲットが違うから気づかれないだろうし、ほとんどパクって、がっぽり儲けてやろう」
といったものだとしたら、インターネットの検索機能の無知さもさることながら、倫理的に芸術家として非常に問題視されるべきだ。
パクリの種類
パクリをカテゴリーに分けてみる。
- 自分の作品が「たまたま」既存の作品と似ていた
- ある作品に対するオマージュで、あえて似せた
- 下心で似せた
1,2までは全く問題なく、3にのみ問題があると思う。
難しいのは、3の時でも、突っ込まれたら後から1や2の考えでやった、と言い訳できるところで、真相は本人にしかわからない。
つまり、本人の倫理観「だけ」が基準になっている。
ちなみに、メロディーだけは著作権があると書いたが、これも明確に設定するのは難しい。メロディーは基本12個の音で構成され、人の声が出る音域は自ずと限られるので、音単位ならばパクリだらけだ。小節単位でもパクリになるのはたくさんある(一音で一小節のばすだけ、というのも立派なメロディーだが、そんな曲はゴマンとある)。
従って、音楽に厳密な著作権を求めるのは、法律の問題があってもなくても、基本的に不可能なのだ。
音楽という、カタチにならない芸術を仕事にしているのならば、最低限の倫理観はもって作品を作っている、と願いたい。