作曲家志望者に向けての記事です。
今回は、もう一歩進んでみます。
結構上記事とかぶる部分もあると思いますが、ご容赦ください。
曲を形づくる上で最も重要度が高いのはコードとメロディーです。
こう言い切れるのは理由があります。
例えばあなたが「この曲が好き」というときに、それはメロディーを思い出しているはずです(または歌詞ですが、歌詞は今回は割愛します)。
ところが楽曲制作に関わり始めると(つまりアウトプット側になると)、アレンジャーはどんなアレンジを、演奏者は楽器演奏のスキルを、エンジニアは音作りなど、フォーカスするポイントが自身の担当によって変わってきます。
これは音楽に限らず、自分がその分野のプロだったら当たり前のことです。
しかし、音楽が人に聞かれて成立するものだとすれば、自分がどのスタンスで作るか、ではなく、聞く人がどんなところを優先的に聞いているか、ということに着目せざるを得ません。
そうなったときに、一番聞かれているのがメロディーなのです。
その次はコードでしょうね。一般の人にはコードという概念はなくとも、雰囲気は感じていると思います。
だから、メロディーとコードが大切なんです。
話がそれました。
タイトルにあるように、コードやメロディーの音を当てられるようになるよう耳を鍛えている人を時々みかけます。
意味ない、とは言いませんが、あまり効率的な訓練とは言えません。
なぜでしょうか。
メロディーもコードも、ググれば出てくるからです。
ググって出てくることをググらずに当てられるということはすごいのかもしれませんが、そこまでです。
じゃあ、作曲をするにあたって何が重要なのか、というと、音やコードが醸し出す雰囲気を掴むことです。
私の大好きなサザンのTSUNAMIを例に取ります。
この曲はKEYがDで、最初のコードは
D A/C# Bm D/A
となります。度数で書けば
I IV/VII VIm I/V
です。
ここがこんなコード進行になっている、ということではなく(繰り返しますが、そんなことはググればどんどん出てきます)、「I」で始まるとこんな感じになるんだ、という雰囲気を掴むことが重要です。
さらに、この曲は歌始まりで「I」コードがなったときのメロディーはA、コードと一緒に考えれば、メジャートライアドの成分である「1 3 5」の「5」 がなっているわけで、「I」のコードにメロディーの「5」がなって始まると、こんな雰囲気になるんだ、ということを掴むことがなにより重要なんです。
ちなみにBメロはIVmで始まっています。これはノンダイアトニックコードで、いわゆるサブドミマイナー、というコードです。
ここも(しつこいようですが)サブドミマイナーだ、なんていう分析ではなく、サブドミマイナーがなったら、こんな雰囲気が出るんだ、ということを掴むことが何より大切です。
コード、メロディーとその雰囲気を掴めたら、自分で曲を作るときに「あの曲のあの雰囲気をここで出したい」と思ったときに流用できるわけです。
◆
作曲初心者が「どうもコードがゴツゴツなるんですよね」と言う人がいます。
それは、スムーズな雰囲気を醸し出すコード進行がどんなコード進行なのか、という分析が足りていないからそういうことになります。
他にも、「曲の終わりが、どうも終わった感じにならない」という人もいます。
少なくともコードにおいて、曲の終わりはほとんどが「V→I」になっています(ケーデンス、とか言いますが、そんな名前はどうでも良いです)。
これも、雰囲気を掴み取る、ということを目的にコードを見ていけば、すぐに気付きます。
大切なのは耳コピではなく、コードやメロディーの醸し出す雰囲気。
肝に銘じておきましょう。